
不登校経験者が語る、不登校生徒が社会に戻った時に困ること
いよいよ梅雨入りとなってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
コロナ過でのステイホームといい、梅雨といい、近頃家にいなければならない時間が多くて、疲れてきている方も多いのではないでしょうか?
家にいる時間ということで、今回は不登校についてのお話です。
皆さん、不登校の生徒が社会復帰したときに、一番困ることは何だと思いますか?
学力、体力、色々思い浮かぶと思います。
そこで今回は、中学生の時に不登校になり、なんとか社会の荒波にもまれ生活している私が、自分の実体験をもとに社会に出たときに困ったことについてお話したいと思います。
まず、社会に出てから一番困ったことは何かをお話ししないと、この後の話に続きませんので、そこをお話ししたいと思います。
社会に出て一番困ったこと、それは社会常識がないことです。
どういうこと?と思われる方もいるかもしれません。
簡単に言えば、本来学校で学ぶ内容であった人間関係や精神面での問題です。
ひと昔前に「KY」という言葉が流行っていたのを覚えている方は多いのではないでしょうか?KY、つまり「空気が読めない」ことの略語ですね。
一つが、このKYに関することです。
学校という場所で、子どもたちが学ぶ内容は勉強だけではありません。そこでは、同年代の子どもたちと接することで、適切な人間関係を学んでいくというのも、学校教育ではとても重要とされていることです。
人が嫌がることや、場にそぐわない内容とは何か、などなど、人間関係で重要になることは、他人というものを通して学んでいきます。
ですが、不登校で家にいる時間が長ければ長くなるほど、人間関係について学ぶ機会が減っていくのです。
だから、社会に出たときに、ありえない行動をしたり、場にそぐわない言葉を言ったりといった状況が出てきます。すると、社会では「空気が読めないやつ」で片づけられてしまうわけです。そうなってしまうと、そのあとの人間関係の構築はとても難しくなっていきます。
二つ目は、先ほどお話しした人間関係も含めての内容になりますが、精神、つまり心の成長が遅くなるということです。
皆さんも、生活していると、「この歳にしては子どもっぽい人だな」とか、「この人って年の割にすごく大人びてるよね」といったことを思うことがあるのではないでしょうか?
不登校に限らず、年齢と心は、同じように成長していくかというとそういうわけではありません。
ですが、多くの不登校は、この面で何かしらの問題を抱えています。
例えば、頑張らないといけない場所で頑張れなかったり、逃げると他人に迷惑がかかるような場面で逃げてしまったりといったことや、年齢と釣り合わない子どもっぽい考え方で動いてしまうことなど、心の面といっても様々な形があります。
自分も、人に言われてはじめて気づくこともあれば、気づかずにうまくいかなかったこともたくさんありました。
そして、自分と同じような境遇の同級生や後輩にも、形は違えどそれぞれ悩みや問題があり、困っていたり、失敗していたり、そういう人たちを自分は見てきました。
これも、結局は家ではどうしても学べないことなのです。
家にいれば、どうしても人と関わる機会が減ってしまう。そして、同じ年代の子どもたちと接する機会が減ることで、「自分という人間が他と比べてどうなのか?」という見方ができる機会が減ってしまいます。
だからこそ、どうしても不登校で家にいる時間が長ければ長くなるほど、家族が自分を測る物差しになり、成長していくと困ることが増えていくのです。
「学力や体力は?無視していいの?」という方もいると思います。
ですが、それは、気持ちさえあれば家にいても何とでもなる内容なのです。
勉強なんて突き詰めれば、一人で学ぶものだし、体力も結局のところは自分が努力しないと身につかないものです。
学力と体力は、あくまで自分の頑張りでどうにかできるものであって、気持ちさえあれば、家でも何とでもなります。
それどころか、時間だけは他人よりあるので、目標があれば不登校で家にいる時間が長い人間のほうが突き詰めることはできるでしょう。
長々と不登校が社会に戻った時に困る内容を書いてきましたが、不登校の原因も多種多様です。それぞれに違った悩みがあり、問題がると思います。
なので、個々はあくまで私の体験談ということになりますが、一つのケースとして、不登校の問題点や悩みについての理解が深まる助けになればと思います。